2005年06月10日

自伝:Toytoycy - その1「生い立ち」

サンドリアでエルヴァーン。
こう聞くと誰もが「騎士」を思い浮かべることだろう。

そのイメージは何よりも正しく、サンドリアにはヴァナディール最高の騎士団が2つも存在することでも明らかだろう。

しかし、わたしは冒険者、そして侍という道を選んでいる。
このことについては少し説明が必要だろう。

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20年前。クリスタル戦争。
父はアルタナ連合軍にサンドリアの騎士として参加したそうだ。
子供の頃のわたしは冒険や新しい世界に興味津々で何度となくその頃の話を問いただしたものだが、父はなかなか話そうとはしてくれなかった。少々の酒に酔ったときを狙ってやんわりと訊くと、ぽつりぽつりと話してくれたのを今でも覚えている。

それは大変な戦いだったらしい。
圧倒的な獣人軍の兵力に立ち向かっていかなければいけない恐怖、そして絶望感。共にサンドリアから赴いた戦友はほとんどが命を落としてしまったことや、連合軍とはいえ元は反目し合っていた3国の微妙なズレから来る味方同士での罵声など。
そんななか、既に海賊の根城となっていたノーグから1人の女性が連合軍として参加していた。その人は名目上バストゥーク所属となっていたが、父は最前線で東方の「刀」を軽快に振るい敵をなぎたおす姿に尊敬のまなざしを送っていたらしい…まぁ早い話が一目ぼれだ。

タブナジア侯国が謎の爆発によって滅亡させられる場面を、父と母は黙ってみているしかなかったそうだ。何も出来ない歯がゆさに2人で涙したという。
かくして大戦は終結し、父はサンドリアへと戻ってきた。やや強引ながら母を連れて。

2人で生活してほどなく、わたしが誕生。
最初は父がわたしに剣技を教えていたのだが(ロンフォールの兎狩りは得意中の得意だ!)、正直自分には型にはまった立ち振る舞い、環境がどうもなじめなかった。父が少しでも目を離そうものなら剣を放りだしトンネルワームに蹴りを入れて遊んでよく叱られたものだ。また、先にも書いたが新しいもの好きでもあったので、オークの目をかわしてはラテーヌ高原まで隣の家の友達と「冒険」したこともあった。気が付くとあたりは真っ暗。進もうにも戻ろうにも方向がわからず途方にくれ泣いていたときに助けてくれたのが、サンドリアに戻ってくる途中だった冒険者の戦士の方だった…と思う。

オークはわたしたち子供を見るや襲い掛かってくるのだが、彼は剣を抜くこともなくクロスボウで軽く退治しながらわたしたちを街まで帰してくれた。そのカッコよさに心底惚れこみ、自分も大きくなったら絶対に冒険者になってやる!と誓ったのだった。誓ったのはいいが家につくなり心底震え上がるほど怒られた。

やがて成長し、父に騎士団を目指すことを薦められたが、断固として拒否し家を飛び出した。各地を走り回る冒険者としての日々が始まったのだ。職業は迷うことなく戦士を選んだ。
やがて仲間もでき、初めは家に帰っても全く口を聞いてくれなかった父も黙って一緒に酒を飲んでくれるようにはなった。母は相変わらず子供の頃のように「ちゃんと食べているか」「ケガはしていないか」などを毎回訊いてくる。わたしももうオトナだ。あまり心配しないでほしい。

そんなある日、偶然物置から母の昔の品を見つけてしまった。1振の古びた刀だった。
それはかなりの年代物だと一見してわかるものだったが、輝きは失われておらず、わたしを完全に虜にしてしまった。手にとってみたものの全くといっていいほど扱えず、勇気を出して母に尋ねてみた。

「ノーグで修行をしてきなさい」

母にとっては息子に海賊の街など訪れてほしくないだろう。ましてや捨ててきた故郷だ。
しかし母は迷うことなくこう口にした。わたしは初めて母親に対して敬礼をした。最初で最後である。
父は黙って酒を飲み干し、部屋を後にした。これが父流なのだろう。

かくして冒険者だった仲間とノーグへ行き、侍としての修行を開始した。


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いきさつとしてはこんな感じだ。
次は侍となってからの日々を書いてみたいと思う。

投稿者 toytoycy : 21:11 | コメント (15) | トラックバック